・・・ プロローグ ・・・ ３年前、ふと思いついてパスポートを取得し、生まれて初めての海外イギリスに行った。 それをきっかけにして、どんどん海外旅行をするつもりだったが、何もしないまま時は流れた。 ２年前に主人が勤続３０年、そして結婚２５周年を迎えた時に、旅行するつもりが、 仕事の関係などでのびのびになっていた。 主人の休暇がどうやら今年の１１月に取れそうと言うので、やっと計画し始めたのが８月末。 １１月なら北半球はどこも秋から冬、花も咲いてないし、昼間が短い。 主人はアウトドアー派で都会は嫌い。 そんなことを考え合わせて、南半球の方がいいという結論に達した。 オーストラリアかニュージーランドか迷った末、やはり日本とは全く違う国にしょうということになった。 それもできるだけ都市部を避けたコース。 主人は英語が苦手なので、添乗員付きのツァーがいいと言ったが、日程の合うのがなくて却下。 私の職場のあるビルにＪ旅行社があるので、たくさんのパンフレットを持ち帰り検討した結果、 やっと決まった。 オーストラリア『カカドゥ国立公園とエアーズロック + ケアンズ８日間の旅』。 シドニー、メルボルンなどの都市はまったく行かないで、熱帯雨林、エアーズロック登山、グレートバリアリーフクルーズと３つの世界遺産をまわる旅だ。 日本とは違って四季のないオーストラリアのノーザンテリトリーという地域で、この時期そろそろ雨季に入ろうというところで、真夏の暑さらしい。 つまり日本を出る時は冬服だが、向こうでは夏服ということだ。 夏服などもうどこにも売ってないので、手持ちの物で行くしかなかった。 最終的にお金を払い込んで、いろいろな資料をもらったのが、１１月に入ってからだった。 出発は１６日土曜日の夜１０時２０分、成田発のＱ航空なので、横浜を夕方６時半頃の成田エクスプレスに乗ることになっていた。 そんなわけで旅支度が完了したのは、出かける３０分ほど前だった。 最後に持ち物をチェックした時に、小さな裁縫道具を手荷物に放り込んだ。 それまではわりに暖かい日が続いていたのに、急に寒くなっていた。 ガラガラとスーツケースを引っ張って江ノ電に乗り、忘れ物がないか考えた時に、ふと裁縫道具のことを思い出して中を開けてみたら、案の定、小さなハサミが入っていた。 旅行ガイドを何度も読んで、機内持込はだめと書いてあったのに、すっかり忘れていた。 仕方なく処分した。 前回のイギリス旅行は、世話役の人がすべてやってくれて、ついて行っただけだったので、今回は慎重に何度もガイドブックを読んだのに、この始末だ。 先が思いやられるような出だしとなった。 横浜駅に早めに着いてしまって、駅のホームで待つこと２０分、薄着の体に冷たい風がこたえる。 季節の違う国に行くのも不便なものだ。 成田エクスプレスで横浜から１時間半、空港についてまずは手続き。 空港の中は汗ばむほどの暖かさだった。 そしてチェックイン、するとよくわからないが、とても混雑しているので、ビジネスクラスをとったというのだ。 これはラッキー！ 同じ旅行代金でビジネスクラスの席に乗れるとは！ そして出国手続きをすませ、あとは待つだけ。 実家に電話をして、最後の携帯メールを打つ。 やがて搭乗時刻になり、ビジネスクラスは、気分よく先に乗る。 定刻、満員の乗客を乗せて、オーストラリア、ケアンズに向けて出発した。 これからの旅はこちらへ続きを書いていく予定だ。 |
